朝日新聞掲載『白鶴亮翅』多和田葉子作溝上幾子画

 確かに「不気味な」書き込みだ。
 書き込みはともかくとして、引っ越しに日本とドイツの違いがでていると思った。ドイツは業者を頼んでいても、なんとなく友人、知人でワイワイやる雰囲気が残っているようだ、
 日本にもこの感じはあった。
  人間関係の変化違いだろう。日本的な良さが、意外にもドイツに残っていたと感じた。

朝日新聞掲載『白鶴亮翅』多和田葉子作溝上幾子画

 ちょっと奇妙な老人が出てきたと思っていたら、今度はやたら素敵な若者が登場する。
 初対面の主人公を、自分のバンドに誘う学生などは、年齢や国籍など関係なく、素敵にみえる。

朝日新聞掲載『白鶴亮翅』多和田葉子作溝上幾子画


 引っ越しにかかわる人たちが書かれている。
 引っ越し会社のチーフのオランダ人の経歴などはいかにも、今の若い人の生き方だ。日本にも若くして、起業する人は増えていると聞くが、このオランダ人の国際性にはかなわないと思う。
 若い人よりあらゆる世代で、海外との交流が少ないと思う。

朝日新聞掲載『白鶴亮翅』多和田葉子作溝上幾子画

  引っ越しの資材の中に見覚えのない書き込みがあった。この設定はまるでミステリー小説のようだ。

  
捨てなければ何年も使われることなく家を狭くしていただけかもしれないのに、捨てたことで心にく刻まれ、後悔の念とともに意識の表面に浮かびあがってくる。

  
世の中、物を持たないシンプルな生活がもてはやされた。私も、引っ越しのときには、物を捨てるのが、かっこいいみたいに、「捨てた」。
 おおいに、後悔している。
  特に、絵本は今あれば、宝の山だ。子供の時の模型もそうだ。
  物を持っていられる空間があることが、文化の基本だと思う。

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