本屋のとなりは写真館

朝日新聞連載小説『国宝』『ディス・イズ・ザ・ディ』の毎回ごとの感想と、読んだ本の感想を更新しています。

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第336回2017/12/12 厳しい稽古を重ねても、いい役がつかないことにはどうにもならない。いい役がついても、その役を完璧にこなさなくてはならない。いい役を完璧にやり遂げても、それが人気を得なければならない。 いい役を…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第335回2017/12/10 この『春興鏡獅子』の舞台の時に、喜久雄と俊介は三十代と四十代の境目ということになる。ここから、十年、二十年経つとどうなるか。俊介の「唸るほどに粋」はますます磨きがかかりそうだ。そうはいかない
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第334回2017/12/9 小説中で年代がはっきりと出てきたか所を、記憶を頼りに書き出してみる。昭和39(1964)年元旦。 喜久雄と徳次は、新年会の余興で「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」を踊る。その踊りを花井半二
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第333回2017/12/8 私にとっても、グッと近い時代の話になってきた。私みたいなサラリーマンであっても、給料は毎年上がるものだったし、わずかでも銀行に預けておけば、3年ほどで預金が増えたと実感できる時代だった。 徳次
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第332回2017/12/7 エンタメより文芸作品の価値が高いとは思わない。そこをおさえた上で、小説『国宝』が、単なる娯楽作品ではなかったといえる。昭和に生きた歌舞伎役者とその周囲の人々を描く小説だと思う。324回感想 それ
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第331回2017/12/6 二代目半二郎が思い描いた俊介と喜久雄は、今ここで言葉を交わしている二人の姿だったのかもしれない。 喜久雄と俊介、三代目半二郎と半弥が、ここに到るまでに経験した苦しみを思うと、役者というのは過
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国宝 あらすじ 301~325回 第十三章 Sagi Musumek 喜久雄と俊介は、『本朝廿四考』の八重垣姫で同じ月に同じ役をやり、二人ともに芸術選奨を受賞した。(第十二章) 芸術選奨を受けた直後に、俊介は『鷺娘』で世間の喝采を浴びる。竹野は、喜久雄に、俊介に対抗して斬
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第330回2017/12/5 読者としても、懐かしさに浸ってしまう。 幸子の言葉が、そのまま再現された。この場面とこの台詞は、物語中の名場面、名台詞の一つだ。 焼き鳥と冷酒というのもいいし、二人のやりとりもいい。 だが、
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朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第41回第8話 また夜が明けるまで② 2017/10/27あらすじ 忍は、高知の空港に到着する。到着して間もなく、東京から仕事上の急ぎの電話がかかって来た。到着ロビーで、その電
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第329回2017/12/4  俊介の言葉の通り、「奥さん」の位置に春江が安住するとは思えない。喜久雄と俊介に役者としての基礎を叩きこんだは、二代目半二郎だった。そして、役者として成長する二人を支えたのが、春江だ。 市駒
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第328回2017/12/3 今から二十年もまえ、山陰の芝居小屋で私が初めて見た二人の少年たちは、それぞれの仕方で必死に歌舞伎に食らいつき、今やその歌舞伎に取り憑(つ)かれてしまった、と。 素敵な誉め言葉だ。 この高い評
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第327回2017/12/2 観客の前に立つ三代目半二郎に欠けているものなどない、というほどの文章だ。その容貌の美しさだけでなく、台詞、仕草、全てが観客を魅了して止まない。 ここまでの舞台の三代目は、正に芸の神髄を極めた
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第326回2017/12/1 第十三章 Sagi Musumeが終わった。十二章に続いて波乱の章だった。その一 喜久雄は、どう見ても得にならない辻村の頼みを聞いた。その理由は、苦しい時に辻村に世話になったからだった。 自分の人気や評
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第325回2017/11/30その一 いきなり事実に基づくことが出てきた。(略)その脚本は、昭和二十六年に初演された舟橋聖一脚色、谷崎潤一郎監修によります戯曲を元にした壮大な一大絵巻(略) 脚本『源氏物語』は、事実に基づい
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