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新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 の感想と、読んだ本の感想を更新しています。

予想1
 千五郎は、喜久雄を大役につける。三代目半二郎は、悪役としての世間のイメージを逆手に取って、この役で大いに注目される。

予想2
 喜久雄の人気が上がったこともあって、俊介のその後の公演はますます評判となる。

予想3
 彰子は、何事もなかったように婚約者と結婚する。

 春江が再び姿を消す。

予想4
 物語・小説の舞台は、観客・読者のいくつもの疑問を残しながら、転換する。
 次の幕・章は、三十代だった喜久雄と俊介の数十年後から始まる。

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第274回2017/10/8

 喜久雄は、冷静だ。
 外のクラクションの音も計算づくだ。

 吾妻千五郎は、喜久雄の狙いをすぐに察した。
 だが、今となってはもう対抗手段の打ちようがないことも理解している。

 朝に読んで、展開の意外さにびっくりした。同時に、喜久雄の策略をすんなりとは受け入れられなかった。

 策略で女を抱いたのも、喜久雄にとっては生まれて初めてのことでございます。

 それもこれも吾妻千五郎からの後ろ盾ほしさ。愛してはいない。しかし歌舞伎のためならば、彰子を愛せる。


 再読して、文章表現の細部が気になりだした。喜久雄の行為は、策略なのか愛なのか?少なくとも、金のためや自分の人気のためでないことは確かだ。
 喜久雄にとっての「歌舞伎のため」の底知れぬ深さを感じる。それは、俊介にとっても同じなのであろうか。

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第272回2017/10/6 

 市駒になんて言うんだ。綾乃はどうなるんだ。それもあるが、東京の歌舞伎の舞台で一からやり直すと言っていた決心はどこへ行ったんだ。 
 が、この方が、いかにも喜久雄だ。綾乃と遊び、市駒や徳次と穏やかに過ごしているのは、喜久雄には似合わない。


 俊介にとっては、どんなに世間の注目を浴びようが、万菊との舞台が大成功に終わろうが、そんなものは一時の人気でしかない。

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