本屋のとなりは写真館

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 の感想と、読んだ本の感想を更新しています。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第413回2019/8/1朝日新聞

 412回から章が新しくなった。と言うことは、後藤さんの息子のスキャンダルの件は、これ以上には発展しないということかもしれない。
 西条真知子さんという人物は、好感の持てる人と描かれていないと思う。でも、けっこう重要な役回りを演じている。洋一郎にとって、自分の職業の内容が知れてしまうような依頼を真知子さんにするということは、真知子さんのどこかに信頼に足るものを感じているからだろう。読者としては、この身勝手そうな若い女性のどこが信頼できるのか、よく分からない。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第405~412回2019/7/24~7/31 朝日新聞

 尊敬し、逆に反発し、いつしか疎遠になり、互いに年を取ると、介護する方と介護される方になる父子の関係。
 洋一郎の場合は、音信不通になっていたという特殊事情はあるのだが、根本的には煩わしい関係でしかなかった父との関係がどんどんと変わる。もしも、父の遺品整理をしていなければ、後藤さんの扱いも施設長としてのマニュアル通りに処理されたであろう。後藤さんは、息子のスキャンダルが起きる前に、施設から退去させられるか、またはスキャンダル後であれば、息子の会社の指図通りに施設から出ていたであろう。
 そうはならなかった。洋一郎は一人の男として、父親世代の一人の老人のことを考えている。そして、第三者としてスキャンダルをおもしろがるだけではない他人(川端さんや、神田さん)が、動き始めている。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第404回2019/7/23 朝日新聞

 父の遺骨の前にいると、そこにいる人の気持ちが落ち着くようだ。荒んでいた後藤さん、息子のスキャンダルで追い込まれているに違いない後藤さんが、今までにない良い雰囲気の話しぶりだ。それは、この部屋のせいなのか、それとも洋一郎の打ち明け話のせいなのか。恐らく、その両方だろう。
 設備が整い、見晴らしの素晴らしい高層の施設の部屋よりもこのアパートの部屋の雰囲気に、後藤さんがすっかり馴染んでいる。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第403回2019/7/22 朝日新聞

 穏やかに微笑(ほほえ)んで、「部屋の掃除ができるのは、幸せな証拠です」と続けた。「反面教師の私が言うんですから、間違いありません」

 後藤さんの別の一面を見せられたようだ。確かに当たっている。特に独り暮らしの老人が、自分の住まいをこざっぱりさせておけるのは、その人に余裕と幸福感があるからだと思う。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第399~402回2019/7/18~7/21 朝日新聞

 洋一郎に共感はできないが、ストーリーは奇想天外になってきた。おもしろいと言えばおもしろい。洋一郎は、今度は、神田さん(父の唯一の友人)から川端さん(父のアパートの大家)になった。
 だいたい川端さんという登場人物はなんなんだろう?他人に優しく他の人をなによりも大切にする人だとでも言うのだろうか?

↑このページのトップヘ