本屋のとなりは写真館

朝日新聞連載小説『国宝』『ディス・イズ・ザ・ディ』の毎回ごとの感想と、読んだ本の感想を更新しています。

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予定より早く、2017/5/18より更新を再開しました。

Bのえんぴつ

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第126回2017/5/10 少なくとも二、三年間は北海道でいろいろな経験をした、と予想したら、見事に外された。 徳次と弁天が行った先は、普通なら、逃げ出せない刑務所のような飯場だ。そこから一月後に帰って来た、ということ…
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101~125回 第五章 スター誕生 あらすじ 第四章から四年近くの歳月が流れ、第五章 スター誕生は、昭和45(1970)年4月の時点になっている。 喜久雄は、花井東一郎を襲名し、京都南座で端役ながら初舞台(昭和42年喜久雄17歳)を踏んでいた。 しかし、当時は関西歌舞伎
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第125回2017/5/9 語り手が、徳次のことを丁寧に扱っている。それほどこの物語の中で徳次は主要な人物なのだ。 徳次が北海道から帰って来たことだけが、描かれているのではない。徳次は、大部屋ながら役者に戻っている。しか
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第124回2017/5/7  歌舞伎の世界には、うまい役者、いい役者、と呼ばれる人は何人もいる。そして、そういう一流と認められる役者は、歌舞伎をよく観る観客には知られている。 ところが、私のように歌舞伎を観たことのない者
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朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第16回2017/4/21  第3話 三鷹を取り戻す⑤(第3話 最終回)あらすじ 貴志と松下は二人並んで、三鷹と弘前の試合を観始める。松下は、自分が応援している弘前の順位も知ら
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第123回2017/5/6 歌舞伎に限らず、名門の御曹司の強みは生まれた時から、本物、それも一流のものに囲まれていることだと思う。 俊介が育ってきた邸で、聞こえてくる三味線の音、義太夫の節回し、舞踊の所作、どれも当代の一
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第122回2017/5/5  一人の劇評家の言葉で、興行会社の社長が動いた。一か八かの賭けのような南座での出演だった。初日が終わると一日にして、爆発的な人気になった。 花井半弥と花井東一郎の役者の名がどのように、世間に知
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第121回2017/5/4 繰り返しになるが、育ての母のマツは、「花井東一郎は私が育てた」と威張って言いたいがために、過去もプライドも捨てて、女中奉公している。 歌舞伎界の大御所である花井半二郎は、俊介と喜久雄の大舞台を
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第120回2017/5/3 読んでいるこちらまで緊張してくる。  この大舞台をしくじったら、スター誕生どころではなくなるのではないか? その上、半弥はともかくとして、東一郎には今後大役は回ってこないのではないか?  舞台
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第119回2017/5/2 役者と金についての、半二郎の言葉と語り手の言葉が見事に呼応している。人気商売と金、なんとも難しいものだと痛感させられる。通帳の金額にも、半二郎の苦労と心配りが込められている。 「大阪へ連れて行
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朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第15回2017/4/14 三鷹を取り戻す④あらすじ 貴志は、中学生の時以来の三鷹のスタジアムに来た。貴志が行かない間に、三鷹を応援する人々は増えていたし、スタジアム内の様子
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第118回2017/5/1 権五郎を、辻村が撃った場面に居合わせたことは、記憶から消してしまいたい。権五郎や辻村につながる人とは一切関わりたくない。しかし、辻村から頼まれたことを断れば何をされるか分からない。 辻村から頼
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第117回2017/4/30 稽古に打ち込む喜久雄の姿が美しく描かれている。 喜久雄がこうやって稽古に打ち込んで過ごした陰にはマツの必死の仕送りがあった。その仕送りが無理なものになっているのを半二郎は知っていたであろう。
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第116回2017/4/29 マツは、優しくて強い。 マツが、喜久雄の生みの親千代子の生きているうちに、権五郎の妻同然になったのは、マツ自身が望んだことではない。それどころか、マツに責任はないのに、千代子に対して申し訳な
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第115回2017/4/28 前回(114回)の感想で、喜久雄が大阪の半二郎の家に行くことができたのは、尾崎と辻村のおかげと書いた。 しかし、半二郎の家にいることになっても、喜久雄が義太夫や踊りに興味を持つことができなければ
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