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新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 の感想と、読んだ本の感想を更新しています。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第321回2019/4/28 朝日新聞

 老人ホームについてのとらえ方の変化は急激だったと感じる。

息子がいるのになんで姥捨(うばす)て山みたいなことをするんだ、子どもが親の面倒を見るのは当然だろう、」

 
こういう紺野の父の考え方が一般的だった。それが、急激に変化したのは、子ども世代の変化だけでなく、母親世代の考え方の変化が大きかったのか、と改めて気づく。高齢者と言っても、男性と女性との差は大きい。女性の高齢者の方が、少子高齢化により早く適応している例を現実にも多く見る。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第320回2019/4/27 朝日新聞

「ミッションをクリアした感じだったな。よしこれで親父(おやじ)のことは完了、意外とあっさりすんで、めでたしめでたし、って」

 あはは、と笑う。今度もまた、ブラックジョークの類(たぐい)ではない素直な笑顔だった。

 
こういう感覚がすべてではないが、すごくよく分かる。父の最後の最後についての紺野の「ちょうどいい長さだよ」についても、違和感や反感を感じない。
 こういう紺野の感覚に違和感を感じない私の感覚は、親にたいして冷たいのか?或いは、息子としての都合だけを優先しているのか?

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第319回2019/4/26 朝日新聞

 紺野は、独身。早期退職し、独身男性の両親介護への道を歩むはずだった。それだけに、紺野の父の死の、「これで将来の心配事が一つ減ってくれたわけだ」は、実感なのであろう。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第311~318回2019/4/18~4/25 朝日新聞

 小雪さんは、気風のよい女性だ。
 しかも、自分の最期への覚悟ができている。
 これは、本人の気質もあるが、長年の商売で培われたものであろう。そして、商売をやめてからも、他の人、自分以外の若い人のためにすべきことがあるというのが、大きいと思う。
 私も、小雪さんの「父が母をどう思っていたか」の話は嘘だと思う。そこが小雪さんの他人のためを考えることができる表れだと思う。
 だが、シェアハウス実現までの設定は、あまりに恵まれすぎている。こんな条件のよいことは考えづらい。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第303~301回2019/4/9~4/17

 高齢者として、老人みんなを一括りにされてはたまらない。後藤さんもノブさんも困った人ではあるが、それぞれの人生があった。
 ハーヴェスト多摩は、理屈としては理想の高齢者住宅だ。でも、洋一郎が思う通り後藤さんにとっては、終の棲家としてはふさわしくない。
 ノブさんが死ぬまで住んだ和泉台ハイツは、老人の一人暮らしとしては条件がよいとは言えない。だが、ノブさんは、そこで落ち着いて彼らしく暮らしていた。
 今までの二人とは違う高齢者の暮らし方をしている小雪さんが登場した。そのシェアハウスは、ずいぶんと条件に恵まれた設定になっている。ちょっと、理想的過ぎるがどう発展するのだろう。

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