本屋のとなりは写真館

朝日新聞連載小説『国宝』『ディス・イズ・ザ・ディ』の毎回ごとの感想と、読んだ本の感想を更新しています。

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第40回2017/2/10喜久雄を育て上げましたマツは、権五郎の後妻でありまして、実母というのは喜久雄が二つのころに亡くなっております。(39回)(略)幼子ながらも、そこで寝ている実の母を魔物か何かのように恐れていた記憶もございます。(…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第回2017/2/9  喜久雄が二歳のころというのだから、実母の思い出はほとんどないであろう。また、病気の母がいるのに、父が新しい女マツを家に入れていたことについても、幼過ぎて特別な考えは持たなかったであろう。だが、父が死んだ今は
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第38回2017/2/8  親分の一人息子なのに、撃ち殺された親の敵討ちをしようとしない。それどころか、ガキ同士の喧嘩で負ける。おまけに、大晦日の夜なのに女の所でくすぶっている。喜久雄のよい所と言えば、歌舞伎舞踊が見事だったことだけ
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第37回2017/2/7 徳次の真剣さが、春江の言葉に顔も上げない描写から伝わる。 一方の、喜久雄もまたいい加減な考えでないことが分かる。 煙草の空き箱の傘のことを、どうして詳しく書くのかと思った。徳治がいくら力を込めて、敵討ちの計
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朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第回2017/2/3第一話 えりちゃんの復活⑤あらすじ 試合は、両チーム得点なく、ハーフタイムに入った。えりちゃんは、富士の選手について細かい動向を話せるほどになっていた。ヨシミは
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第36回2017/2/6 煙草の空き箱で作った傘、覚えがあるなあ。どこで、見たかは忘れた。いや、昭和の頃の居酒屋か寿司屋だった。居酒屋と言っても、チェーン店などではなく女将一人でやっているような居酒屋だった。 徳次の無鉄砲さにもなん
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第35回2017/2/5 権五郎は宮地の組員に撃たれたと思っていれば、敵は、撃った組員であり、それを指図した宮地の親分だ。宮地組は解散していても、宮地の元大親分は生きている。 徳次が敵討ちと言っているのは、権五郎を撃った組員と親分を
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第34回2017/2/4 小説の文章には出てきていないが、徳次は、権五郎親分の恩を心から感じていたと思う。そうでなければ、ここまで喜久雄を守ろうとはしないはずだ。 十六歳であるが、今までの徳次の人生は過酷であった。それだけに、自分の
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第33回2017/2/3 文章では、表現が困難な乱闘の場面だ。試しに、徳次と喜久雄の視点から前回と今回の動きを箇条書きにしてみた。【徳次の視点から】 いきなり、ニッキの譲治に顔面を殴られる。鼻血を抑えて蹲る。ニッキの譲治に、背中を雪
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朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第4回2017/1/27第1話 えりちゃんの復活④あらすじ ヨシミが目を止めた男性は、初対面のヨシミを宅飲みに誘った男だった。それは、鶚が不甲斐ない負け方をした日、おかしくなっていたヨ
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第32回2017/2/2 喜久雄が父の威光を笠に着て、好き放題に振舞ったのは、力関係からいえば自然の成り行きだったろう。だから、父の威光が消えれば、今までへいこらしていた連中がたちまち手の平を返すのも、至極当たり前なのだ。「……自分
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第31回2017/2/1 喜久雄と徳次は、心の内はどうであれ、父であり親分であった権五郎が死んでからも、以前の好き放題の生活に戻っていた。 また、徳次は殴り込みの時のこととは別の件で、鑑別所送りになっていたらしい。映画館でのことは、
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第31回2017/1/31その2 立花組は続いているし、喜久雄の家も以前のままのようだ。母親も無事だったのだろう。そして、辻村は喜久雄のことを持ち上げている。 権五郎の一回忌も盛大に行う準備がされているであろう。 だが、喜久雄はそれに
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第30回2017/1/31  愛甲会の辻村は、巧妙に目的を達成した。 この抗争の出発点であった愛甲会の熊井組長が襲われたのも、裏切り者の手引きがあったかもしれない。もし、そうだとするなら、そこに辻村が絡んでいたであろう。 熊井親分亡き
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第29回2017/1/30 髭の話で、喜久雄の中学生の顔がようやく見えてきた。また、徳次が寒さに震えていることから、彼の辛さが分かる。徳次は、泣き言や弱音を吐いていないが、実際は追い詰められ、辛さに必死に耐えているのだろう。 宮地組は
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