本屋のとなりは写真館

朝日新聞連載小説『国宝』『ディス・イズ・ザ・ディ』の毎回ごとの感想と、読んだ本の感想を更新しています。

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第150回2017/6/3 ザンネン。予想できなかった。伏線はあったのに。 代役が喜久雄だということを確かめた半二郎の入院先病院からの帰り道だった。俊介は、喜久雄に殴りかかったが途中で力が抜けて、父が決めたことだからと、…
>>続きを読む

 143回の感想 でどうすれば半次郎と喜久雄自身が満足するような役作りができるだろうか、と疑問に思った。 中座での『曾根崎心中』の喜久雄の演技は、結果として大絶賛を浴びた。それは、喜久雄の今までの激しい稽古の積み重ねと、半次郎の病室での三日三晩の一心不乱の稽
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第149回2017/6/2 家出ということであれば、役者を捨てるという覚悟なのか。 俊介の行動は十分に理解できるし、喜久雄が半二郎の跡取りとして活躍するには、自分がいない方がよいと考えるのももっともだ。もっともではあるが
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第148回2017/6/1 京都南座での喜久雄と俊介の「二人道成寺」は、二人同時の人気沸騰だった。半二郎の事故後の大阪中座でのそれは、違っていた。ここで、俊介は初めて喜久雄をライバルとして見ざるを得ない状況に追い込まれた
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第147回2017/5/31 今の喜久雄に、俊介の立場になってみろというのは無理な話だ。しかし、俊介を追い出して、半二郎の跡取りになろうなどという気はなかったはずだ。が、喜久雄の言っていることは、正にそのことになるのでは
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第146回2017/5/530 一読者としても、庄左衛門の言葉にほっとした。 喜久雄はどれほど安堵したか、喜久雄の心の内が伝わってくる。しかも、その庄左衛門の言葉がただ褒めるだけでなく、教えを含んでいる。 喜久雄は、自分が
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第145回2017/5/29  ある意味では、初日の舞台よりも厳しいのがこの立ち稽古なのであろう。喜久雄の必死さはもちろん、俊介の緊張、関係者の不安が伝わってくる。 さて、この後が、半二郎が𠮟責した「(略)舞台でちゃんと
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第144回2017/5/28 代役を立てなければならないという時には、あらゆることが半二郎の頭を巡ったのであろう。①半二郎の役どころであるお初をきっちりと演じられる芸を持った役者。②代役にした役者と半二郎の今までの関係と
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第143回2017/5/27「(略)舞台でちゃんと生きてへんから、死ねへんねん!」まだお初が頭の中にいる。早くこのお初を追い出して、自分がお初にならなければと、(略) どうすれば半二郎の境地に、そして喜久雄が求めている境
>>続きを読む

朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第18回2017/5/12 眼鏡の町の漂着②あらすじ 鯖江SCのホーム開幕戦を香里と一緒に観戦するという約束をしていたのに、何の連絡もなく吉原さんは現れなかった。 その夜から、
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第142回2017/5/26 普段は表面に出ないが、喜久雄と俊介の間には、激しい競争心があるのかもしれない。 喜久雄が稽古に熱心に取り組んだのは、最初は好きだからという単純な理由からだったと思う。しかし、それだけで並外れ
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第141回2017/5/25「(略)人ん家(ち)に入り込んで、一番大切なもん盗みくさって!(略)」 俊介は、怒りと憎しみの感情を爆発させ、それを吐き出した。そして、吐き出した後、冷静になった。、「(略)『実の息子より部屋
>>続きを読む

朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・内巻敦子画『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第17回2017/4/28第4話 眼鏡の町の漂着①あらすじ 香里は、一人で鯖江アザレアSCの最終節の試合に向かっている。マスコットキャラクターを見たり、知り合いのサポーターと声
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第140回2017/5/24 半二郎が、喜久雄に義太夫の稽古をさせたのには、理由が二つあった。  まず一つ目が、一人息子の俊介には、どうも甘えがあって、ライバルでもいなければ稽古に身が入らないので、その相手にしたい旨。そ
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第139回2017/5/23  俊介は、地方巡業で前の晩に飲みつぶれて舞台に遅れそうになったことがあった。『二人道成寺』で人気が出ると祇園での遊びも一段と増えたようだった。 喜久雄は、地方巡業の頃から舞台一筋のようだ。観
>>続きを読む