本屋のとなりは写真館

朝日新聞連載小説『国宝』『ディス・イズ・ザ・ディ』の毎回ごとの感想と、読んだ本の感想を更新しています。

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第110回2017/4/23 劇評家の藤川教授は、「自分が江戸時代にいるのかと錯覚したくらい」と言っていた。ということは、二人の舞踊は伝統通りの芸だったのだろう。半二郎が、骨に覚えさせると教えた踊りは、伝統を忠実に伝える…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第109回2017/4/22  喜久雄と俊介の『道成寺』でのきれいさに評判が立っているのかと予想していた。二人の舞台での美しさが素人受けしていたのではなかった。大学教授の劇評家に「激賞」されるとは、東一郎と半弥の舞踊の芸
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第108回2017/4/21 辻村でも出てきたかと心配したが、「福の神」が現れたようだ。この梅木社長によって、二人の役者としての今後が変わりそうだ。 今回の冒頭で、東一郎こと喜久雄の気持ちが描かれている。(略)舞台に立つ
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第107回2017/4/20 役者修行の前から、喜久雄は歌舞伎好きだった。そのことが、何となく腑に落ちなかった。私は、喜久雄と同年代だ。私が育った所は、東京や大阪からは遠く離れているが、それにしても周囲で歌舞伎に興味があ
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第106回2017/4/19  半二郎の心の内が分かるような気がする。 できれば、辻村とはきっぱりと縁を切りたい。が、喜久雄のことを頼まれれば、断るわけにはいかなかった。自分の下に喜久雄を預かってみれば、その芸の才能もあ
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第105回2017/4/18 急に辻村が登場し、徳次の脱走の件がないものになり、次に尾崎が登場したので、また何か思わぬ展開があるかと期待した。最大の逆転劇が準備されていた! 知らされてみると、一番ありそうな結末だった。 
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第104回2017/4/17 もう登場しないのでないかと思っていた尾崎が登場した。「喜久雄の恩師」で「田舎教師」の尾崎は、ひょっとすると、裏の脇役となるのではないか。もちろん、裏の主役は、辻村だ。 喜久雄排斥運動には、何
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 役者にとって、きれいな顔は武器になる。ましてや、女形であれば、きれいな顔はそれだけで人気の源にもなろう。だが、女形の名優小野川万菊は、言う。「でも、あれですよ。役者になるんだったら、そのお顔は邪魔も邪魔。いつか、そのお顔に自分が食われちまいますからね。
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 愛甲会の辻村は、まさにこの小説の狂言回しだ。 喜久雄と半二郎の関わりの全てに辻村が顔を出している。徳次が喜久雄のお供として、大阪へ行くことになったのも、辻村の手配だ。さらに、徳次の鑑別所脱走の件をなかったことのようにしたのも辻村だ。 その辻村が、俊介を
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第四章 大阪二段目76~87回  舞台は、長崎から1965(昭和40)年の大阪へ移った。喜久雄と徳次が、大阪の歌舞伎役者花井半二郎の下で暮らすようになり、ほぼ一年が過ぎた。 その大阪へ、喜久雄を追うように春江も出て来ていた。春江は、喜久雄と徳次が準備した安アパート
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第103回2017/4/16 すばらしいことだと感じる。 初舞台で、これほどの「恍惚感」を味わうのは、役者になることを運命づけられているのだ。 次の表現に注目した。(略)さっきまで自分がいた舞台の床の感触や、はっきりと一
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第102回2017/4/15 さて、遅ればせながら、慌ただしく始まりましたこの第五章、成功を夢見た徳次が北海道へ旅立ちました前章から、すでに四年近くの月日が流れております。 物語の時系列を整理しておく。昭和39(1964)年元
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『波の音が消えるまで』 沢木耕太郎 新潮社   何かを追い求める生き物が、人間だ。そんなことを思わせる小説だ。  だからといって、主人公の思想が難しく書かれているのではない。むしろ、主人公は単純で、行動の人物だ。その面では、エンタテイメントの要素が強い。 
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第101回2017/4/14 俊介は、花井半弥の名で初舞台も踏んでいる。(67回)喜久雄も、芸名をもらい舞台に立つようになっていた。しかも、俊介と同等の役柄のようだ。いかに、地方公演と言いながら喜久雄にとっては、大抜擢だと
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第回2017/4/13 徳次の気持ちについて、想像したことがあった。82回感想 俊介に対しても兄貴分のようになるのかと思ったが、違っていた。徳次にとって、喜久雄はただ一人の「坊ちゃん」だった。 権五郎が生きていた間の喜久
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