本屋のとなりは写真館

朝日新聞連載小説『国宝』『ディス・イズ・ザ・ディ』の毎回ごとの感想と、読んだ本の感想を更新しています。

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第328回2017/12/3 今から二十年もまえ、山陰の芝居小屋で私が初めて見た二人の少年たちは、それぞれの仕方で必死に歌舞伎に食らいつき、今やその歌舞伎に取り憑(つ)かれてしまった、と。 素敵な誉め言葉だ。 この高い評…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第327回2017/12/2 観客の前に立つ三代目半二郎に欠けているものなどない、というほどの文章だ。その容貌の美しさだけでなく、台詞、仕草、全てが観客を魅了して止まない。 ここまでの舞台の三代目は、正に芸の神髄を極めた
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第326回2017/12/1 第十三章 Sagi Musumeが終わった。十二章に続いて波乱の章だった。その一 喜久雄は、どう見ても得にならない辻村の頼みを聞いた。その理由は、苦しい時に辻村に世話になったからだった。 自分の人気や評
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第325回2017/11/30その一 いきなり事実に基づくことが出てきた。(略)その脚本は、昭和二十六年に初演された舟橋聖一脚色、谷崎潤一郎監修によります戯曲を元にした壮大な一大絵巻(略) 脚本『源氏物語』は、事実に基づい
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第323回2017/11/28  綾乃にしてみれば、外へも出してもらえず、何もすることがない状態が最も苦痛だったろう。どんなに喜久雄と徳次と市駒に心配され、大切に守られても、綾乃は自分の居場所を見つけられなかっただろう。 
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第322回2017/11/27 長崎で、喜久雄と春江がどうやって出会い、どうして離れられなくなったのか、ずうっと謎だった。以前に、次のような予想をしたことさえあった。76回感想 喜久雄は、組の年上の者から童貞であることをから
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第321回2017/11/25 物語の全体構造が覆っていく。 喜久雄の生活は、昭和のことでありながら、まるで、時代が違うような印象があった。 中学校で人を襲ったのに、何事もなかったように扱われた。背中の彫り物が問題となった
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第320回2017/11/25その一(予想)①この騒ぎで、喜久雄は新派を去ることになる。新派を去り、歌舞伎界に戻ることもできず、喜久雄は役者として再び窮地に陥る。 ②この騒ぎは、俊介と春江に及ぶ。特に春江の刺青が、春江を恨
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第319回2017/11/24その一 辻村の恩を感じていたから、喜久雄は二十周年パーティーでの舞台を引き受けた。しかし、喜久雄が、辻村に対して親近感を持っていたとは思えない。それなのに、警察に踏み込まれた場で、辻村を慕って
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第317回2017/11/22 不思議と辻村へは、嫌悪感が湧かない。辻村は、裏切り者で、喜久雄を騙し続けている。また、二代目半二郎にも、苦しみを与えていた。 その反面では、興行で二代目半二郎と喜久雄を助けていた。喜久雄へは
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第316回2017/11/21  辻村は、企みを抱き、権五郎の新年会に向かった。さらしの下には、ドスではなく入念に包んだワルサーを隠し持っていただろう。そして、連れて行くのは、二代目半二郎だ。 辻村は、首尾よく企みを遂げた
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①親分権五郎が死に、喜久雄は坊ちゃんでもなんでもなくなった。おまけに立花組は、すっかり落ち目になった。②喜久雄は、歌舞伎の稽古に熱中していたが、役者として舞台に立てるかどうかもまったくわからなかった。③二人道成寺で人気を得た喜久雄だが、すぐにその人気にも
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第315回2017/11/20 私は、現代の小説をこのブログを書くようになってから読み始めた。吉田修一という作家については、名前も聞いたことがなかった。今回を読んで、俄然、吉田修一に興味が湧いてきた。 徳次、喜久雄、春江、
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