本屋のとなりは写真館

朝日新聞連載小説『国宝』『ディス・イズ・ザ・ディ』の毎回ごとの感想と、読んだ本の感想を更新しています。

朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第51回2015/12/9 恋を描いた小説は、もとより豊富にある。成就する恋も、悲劇に終わる恋も様々に描かれている。だが、成就した恋のその後を描いた小説は、それほど多くはないのではないか。 私にとっては、成就した恋のその後を正面から描い…
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第246回2015/12/9 建物の白い外壁は強い陽光に照らされて輝いているように見える。 事故物件の家が、こんなに変わってきた。広岡が、そして具体的には氷見が、佳菜子が、白い家に活気を吹き込んでいる。 佳菜子は、毎日のように、
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第50回2015/12/8 中途半端な状態が続く小六だが、御米との関係が少し変化してきたようだ。御米を話し相手、相談相手として頼りにするようになった様子が見える。 これは、不思議なことだ。御米に何か力があるわけではない。安之助は、ひょっ
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第245回2015/12/8 野球をすることがダメになったが、ボクシングに出合い、ボクサーになる道を見つけた。そのボクシングを続けることが不可能になり、ホテルでの仕事を始めた。そして、ホテルのオーナーになることができた。それが、
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第244回2015/12/7自分がアメリカに行ったのは、単に日本のボクシング界に失望したからというだけでなく、真田の引力圏から抜け出なくてはならないと思ったからではないかと気がついた。 四十年経って、今、「気がついた」ということ
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第243回2015/12/6――何者にもなれませんでした。 広岡が、キーウェストに行き、そして日本に来た目的はこれだったと感じる。こうすることは日本でしかできないことだし、彼にしかできないことだ。少なくとも、日本へと彼を駆り立て
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第242回2015/12/5ただその日を境に、広岡の真田へ傾斜する気持ちがさらに強まったようだ。 あのように言われたら、こうなるのは自然なことだ。 白い家と、真田の思い出がこんなに色濃く結びつくとは、白い家が広岡を呼んだとも思え
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第49回2015/12/4 小六は、かなり追い詰められている。 それを、宗助は分かっているようで、分かっていないのではないか。 御米の方が、小六のどうしようもない気持ちを知っている。しかし、それは宗助になかなか伝わらない。 夫婦のことは
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第241回2015/12/4 こう言われるのが、最も厳しく胸に響くと思う。そして、最も励まされる言葉だろう。「君なら、なれます」 真田が思う理想のボクサーとは、ボクシングについてのことだけではなかった。人として正しき魂をもつこと
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第48回2015/12/3 小六が話す安之助の新発明の話は、いかにも胡散臭いものだ。安之助は、自分の専門知識を生かしているように見えながら、儲けがありそうな新奇なことを追い求めているようだ。 だが、これを一概に非難することはできない。現
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第240回2015/12/3 真田は、広岡に、同情するような態度を見せず、慰めるような言葉も言わなかった。広岡の話を聞いて、同情の心や本人の慰めになるようなことを言わないのはむずかしい。その真田は、自分のことを語りだしたようだ。
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第47回2015/12/2 坂井にとってみれば、宗助夫婦はとらえどころのない借家人であったのかもしれない。ずいぶんと静かに暮らす夫婦でまるで隠居住まいのように見えていたのではないか。それが、急に若い弟を同居させだした。それに、今回の泥棒
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第239回2015/12/2 会うことのなかった母へどうしようもない思慕の念を持ち続けただろう。 父と兄の微妙な感情を知った際には、これもどうしようもない寂しさと割り切れなさが湧いただろう。 叶うことのない母への思いは、自己憐憫
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第46回2015/12/1 宗助にとっては、坂井の家の子どもたちの様子は珍しいものに映っている。 その中でも、子どもたちのいたずらの一つ一つは興味深いものに聞こえ、世間でよく言われるような子どもの成長についての話などには興味を感じていな
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第238回2015/12/1 予想外の展開だ。 広岡は、白い家のことを藤原と佐瀬に既に知らせていた。ということは、二人は白い家にやって来ることに同意したのだ。同意しないにしても、断ってはいないということだろう。 もう、ひとつ予想
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