本屋のとなりは写真館

朝日新聞連載小説『国宝』『ディス・イズ・ザ・ディ』の毎回ごとの感想と、読んだ本の感想を更新しています。

朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第230回2015/11/23佳菜子は、あっさりと提案を撤回した。 広岡は、佳菜子を信頼している。また、彼女以外にはいろいろなことを相談できる相手がいないということもあるだろう。 昔の仲間と暮らすという計画を具体化させながら、会長…
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第229回2015/11/22傷をつけても、焦がしても、まったく気にならないような無骨なものがほしかった。 物が溢れている今なのに、欲しいと思っても、ない物がある。実用一点張りで、品質のよい物がなかなかない。広岡が探しているテーブ
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第39回2015/11/20こんな生活状態に甘んじて一生を送る兄夫婦が如何にも憫然に見えた。 その兄夫婦を頼りにするしかないのに、そこには小六の考えはいかないようだ。資産家の家に生まれ、裕福な生活を経験するとこういう考えをもつのだろう。
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第228回2015/11/21 氷見はやはり只者ではない。興味本位や詮索好きとは違って、気に入らない注文主からの仕事はしないという職人気質を感じる。 氷見は、元ボクサーの老人ホームを気に入ったのだと思う。「そいつは、なんだかおもし
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第回2015/11/20 今は、六月の初めのようだ。桜が咲くのは三月中旬だとすると、あと九か月だ。広岡は、それまで生きていられるかどうかを危ぶんでいる。本当にそんなに短い期間しか彼には残されていないのだろうか。「ファン」 ファ
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第38回2015/11/19「あの坂井という人はよっぽど気楽な人だね。金があるとああ緩くり出来るもんかな」 坂井という人は、金を持ち、賑やか家族に囲まれ、趣味も随分とハイカラだ。世間的には、羨まれるにふさわしい暮らし向きだ。 明治時代に
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第226回2015/11/19 昔の仲間のために、頼まれもしないことをするだろうか。 広岡は、世間一般の考え方では括れない生き方をしてきたし、今もそうしている。だが、その広岡でも、「仲間のため」だけに、ここまでやろうとするだろうか
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第37回2015/11/18 『それから』を読んでいた間は、主人公に日常の生活を感じなかった。生活費の心配も、住む家の手配も、食事の準備もいらなかった。 『門』は、主人公の生活を感じる。日々の暮らしの中では、隣家に入った泥棒のことが大事
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第225回2015/11/18「あんた、なんだって老人ホームを始める気になったんだい。」 私の町では、老人ホームや高齢者向けマンションが増えている。理由ははっきりしている。需要があるからだ。だが、需要があって始めた商売でも、採算が
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朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第36回2015/11/17 御米が不安に思った通り、夕べの物音は、泥棒の仕業であったらしい。 宗助と御米の生活にとっては、大家の所へ入ったらしい泥棒のことが大事件であろう。 私たちの生活にとって外の出来事は不思議なものだと思わせられる
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第223回2015/11/16 いろいろな小説を読むのは、おもしろい。 一時期、ジョナサン・ケラーマンの作品で、手に入るもの全て(翻訳)を読んだ。ベストセラー作家だったが、私が読み始めた頃は、ブームが去っていたようで、文庫でも絶版
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第222回2015/11/15固めのベッドバーカウンターのような長い机を作りつけ 私も家を建てたときに、固めのベッドを探したが、なかなか見つからなかった。寝るための機能だけで、しっかりした作りで、固いものとなるとかなり限られたもの
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第221回2015/11/14 私の祖父母の世代は、医師から自分の命の限界を知らされることはめったになかった。命の限界の数日前に家族が、それを知らされることはあったが、本人が知らされるのは特別な場合だったと聞いている。 親の世代で
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朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第220回2015/11/13あの家を見てまわりながら、かつてロサンゼルスで小さなホテルの再生を企てていたときに似た興奮が、体の奥底から静かに湧き上がってくるのを覚えていたからだ。 老人には、老人の楽しみがあるはずだ。引退した人に
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