新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第197回2018/12/21 朝日新聞

 後藤さんの問題は、今までの生活の仕方のようだ。一人暮らしが長い高齢男性に、基本的な家事能力のない人は珍しくない。
 洋一郎の父、石井信也と後藤さんは対比的に描かれている。洋一郎の父のように、料理・洗濯・掃除がきちんとできる高齢男性の方が珍しい。それが、父が周囲の人たちから好かれた理由かもしれない。
 結婚していた頃の父は、家事についてはどうだったのか?洋一郎の母に聞いてみたい。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第196回2018/12/20 朝日新聞
 
 後藤さんは、認知症ではなくて、今までの本人の生活環境が問題なのではないか?
 また、本人の問題だけでなく、強力なコネを持っていて高額の費用を出せる息子との親子関係が問題なのではないか?

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第195回2018/12/19 朝日新聞

 金を持っていて、設備と介護サービスの充実している有料介護付きマンションに入居すれば、死ぬまで安心かというと、そんなわけはないなあ。
 立派なマンションでも、住んでいる人間はいろいろだし、それが高齢者ばかりとなると、トラブルも一段と多いのだろう。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第194回2018/12/18 朝日新聞

 第七章で出て来た後藤さんがここで、登場してきた。
 後藤さんは、入居に全然うれしそうではなかった。自分の希望で、自分の資金で多摩ハーヴェストに入ったわけではなかった。息子の経済力と強力なコネで入ったらしかった。
 さらに、老人ホームに入るには若く、健康そうだった。その後藤さんが、スムーズに老人ホームの生活に馴染めないのは、当然といえば当然の流れだろう。

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第193回2018/12/17 朝日新聞

 神田さんのこういう行動は、予想できた。むしろ、俺がノブさんの遺骨を引き取る、と言いそうだと思っていた。
 私が奇妙で、現実離れしていると感じていた父の遺骨の前の集まりは終わった。遺骨のこともガラケーのことも何も解決していない。さらには、すぐには何かが起きるとも思えない。

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