朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第489回2016/8/15
広岡は、今でも令子を他の誰よりも頼りにしている。
彼女の息子に依頼をするにしても、令子のいない場所で話をすることはできたはずだ。令子がいる場所で、いわば遺書の依頼をしているということは、弁護士の公平にだけでなく、令子にもすべてを話したことになる。
今までも、広岡は令子に、いろいろと助けてもらっていた。部屋を借りるときの身元保証、佳菜子を連れていくレストラン、翔吾の所属ジムについても相談していた。翔吾が世界戦に挑戦できるのも令子の存在抜きでは考えられない。
そして、令子の方もいつも広岡を信頼し、力になっていた。
だからこそ、広岡は自分の病気のことを令子に、最初に打ち明けたのであろう。
息子の公平が感じたように、現在でも広岡と令子の間には特別な信頼関係がある。これは、二人の過去にはまだ読者に明かされていない何かがあるに違いない。
広岡は、今でも令子を他の誰よりも頼りにしている。
彼女の息子に依頼をするにしても、令子のいない場所で話をすることはできたはずだ。令子がいる場所で、いわば遺書の依頼をしているということは、弁護士の公平にだけでなく、令子にもすべてを話したことになる。
今までも、広岡は令子に、いろいろと助けてもらっていた。部屋を借りるときの身元保証、佳菜子を連れていくレストラン、翔吾の所属ジムについても相談していた。翔吾が世界戦に挑戦できるのも令子の存在抜きでは考えられない。
そして、令子の方もいつも広岡を信頼し、力になっていた。
だからこそ、広岡は自分の病気のことを令子に、最初に打ち明けたのであろう。
息子の公平が感じたように、現在でも広岡と令子の間には特別な信頼関係がある。これは、二人の過去にはまだ読者に明かされていない何かがあるに違いない。