本屋のとなりは写真館

朝日新聞連載小説『国宝』『ディス・イズ・ザ・ディ』の毎回ごとの感想と、読んだ本の感想を更新しています。

2017年03月

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第5回2017/3/18 何かを好きになっていくというのは、理由がつくようでつかない。興味を持ったことでも、やってみると、自分には合わないと手を引いてしまうことも多い。逆に、人から強いられてやってみたことでも、その面白さにやめられな…
>>続きを読む

 ラジオで歌舞伎役者の対談を聴いた。NHKFM邦楽ジョッキー 隼人‘sカフェ 坂東亀三郎さん  いつ頃から歌舞伎役者になることを意識しましたか?という質問に、坂東亀三郎が次のように答えていた。 歌舞伎の家に育っているので、歌舞伎役者になるのは当たり前のことで、…
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第74回2017/3/17 義太夫と人形浄瑠璃の兼ね合いがほんの少しだけ分かってくる。こうやって、読んでいくと、世の中には知らないことが多い。知らないことが多いというよりも、知っていることがない、と言った方が早い。 喜久雄と徳次が属し…
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第73回2017/3/16 今回は、ほとんどが会話と語りで構成されている。まるで、ラジオドラマの脚本のようだ。 喜久雄、俊介、徳次、それぞれに思っていることは違う。それぞれに今までの生い立ちが違う。そして、三人共に温かい普通の家庭とは…
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第72回2017/3/15まるで吠(ほ)え合う闘犬のようで、見ている喜久雄たちまで息が詰まります。 伝統芸能の稽古が厳しいものだというのは、どこかで聞いていた。しかし、これほど激しいものとは知らなかった。一言一言と言えばよいのか、一節…
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第71回2017/3/14 周囲のお屋敷の立派さに目を奪われるのかと思いきや、山が見えないことに驚くとは。たらふくメシを食わせてもらえば、不安も心配もどこ吹く風といった喜久雄と徳次だ。バカなのか、どこまでも前向きなのか。 羨ましいと感…
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第70回2017/3/13 立花の家は、その稼業からしても世間の家とは全くの別物であろうことは想像に難くない。 それに、負けず劣らず花井の家も一般の家とは桁外れの違いだ。だいたい、徳次が喜んで食っているご飯は、遅い朝飯なのか昼飯なのか…
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第69回2017/3/12 喜久雄の人物像は、短い会話を通して伝わってくる。①新年会の舞台後の徳次との会話。ヤクザの親分の一人息子が背伸びをしている姿を感じた。②鑑別所から逃げて来た徳次との会話。それまで見せなかった意地の強さを持って…
>>続きを読む

朝日新聞夕刊連載小説・津村記久子作・『ディス・イズ・ザ・ディ 最終節に向かう22人』第10回2017/3/10第2話 若松家ダービー⑤あらすじ 琵琶湖と泉大津が対戦する最終節、圭太は琵琶湖のホームスタジアムで試合前のグッズ売り場と屋台村で買い物をしたり、食べたりしてい…
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第68回2017/3/11 あとで分かることですが、この源吉、元は半二郎付きの弟子だったのですが、芸よりもその忠義心を買われまして、俊介の養育係と言いましょうか、男ながらの乳母とでも申しましょうか、とにかくおむつのころから、人気歌舞伎…
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第17回2017/3/10 ようやく徳次が目覚めたようだ。 肌色で、喜久雄と俊介の違いを際立たせている。 同い年、同じ家で暮らすことになりそうな二人。しかし、育ちはまるで違う。 家の中の喋りと、乱闘騒ぎの納め方の対比が鮮やか。 ヤクザ…
>>続きを読む

 尾崎という登場人物は、今後どのように扱われるのだろう? 尾崎について整理してみた。①権五郎が存命のころは、徹底して喜久雄のことを嫌っていた。②夜の街で、喜久雄を殴ったときは、喜久雄だけでなく、春江を叱っている。③喜久雄の敵討ちのときは、結果的には喜久雄…
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第65回2017/3/8どちらもよく磨かれた廊下でありながら、極道の家のは、長年、男たちが裸足で踏みつけてきたもので、逆にこちらはそこから女たちの素足が連想されるのでございます。 これは、誰がこう連想しているかというよりは、語り手の…
>>続きを読む

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一第64回2017/3/7 番頭の源吉という人物、粗忽で調子のいい人なのか、気のきく働き者なのか、まだ分からない。どちらにしても、喜久雄と徳次にとって、大阪での生活はこの番頭の言うがままになっている。 振り返ってみると、第一、二章では…
>>続きを読む