本屋のとなりは写真館

朝日新聞連載小説『国宝』『ディス・イズ・ザ・ディ』の毎回ごとの感想と、読んだ本の感想を更新しています。

2017年08月

朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第237回2017/8/31 万菊の言葉が印象に残る。「そう……、丹波屋の半弥さん、やっぱり死ねなかったのねぇ」 姿を消した俊介は、誰から見ても出奔するだけでなく、生きていられないと思われていたのだ。 実の父、当時の半二…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第236回2017/8/30 小野川万菊は、名優として描かれてきた。今回でも、「稀代の立女形」と最大級の形容がされている。 さらに、今まで物語の転換に大きく関わることがないのに、随所に顔を出している。95回感想 95回感想そ…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第235回2017/8/29 穏やかで気持ちのよい三人の会話だ。 三人を取り巻く客観的な条件からは、先の明るさは見えてこない。だが、互いを思いやる者同士がいて、互いに心の内を素直に言葉にしている。 幸福感とは、夢が叶った…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第234回2017/8/28 徳次は、『太陽のカラヴァッジョ』の撮影現場で、喜久雄が一番ひどい目に遭った時のことを知らないと思う。過去に遡るが、辻村の正体も知らないし、白虎が最期に「俊ぼん」と叫んだことも知らない。 徳次…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第233回2017/8/27 歌舞伎役者が、妻に求めるものは、元気な頃の幸子のような女性であろう。幸子が白虎にやったような世話を、市駒は喜久雄に対してできないであろう。喜久雄の方も、市駒に歌舞伎役者の家を仕切ってもらおう…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第232回2017/8/5 市駒がいなければ、喜久雄は塞ぎこんだまま、役者としても潰れていただろう。娘の綾乃がいなければ、市駒の所にいても、もっと長い間閉じこもっていただろう。 長崎にいた頃の喜久雄は、春江がいなければ、…
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 金沢のクラブで、地元の名士から踊れと言われて、喜久雄はその名士を殴りそうになり、徳次に止められた。(207、208回) その騒動の後、喜久雄は、俊介ならあの場で踊るふりでもして、なんなく乗り切ったのではないか、と言っていた。喜久雄は、自分は三代目を継いだとこ…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第231回2017/8/25 俊介の再登場が、直截に書かれた。 竹野は、俊介の素顔を知っている。それを、ダメ押しする「俊ちゃん」の声。 化け猫の正体が俊介であったことは、伏線に調和する。物語の伏線に調和しないのは、次の表…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第230回2017/8/24 凄い。 この舞台、化け猫の演技に引き込まれた。 これだけの迫力ある表現には、いくつかの要素がある。①独特の語り。(略)見るからにおどろおどろしく化け猫へと変身したのでございます。②擬音語の効…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第229回2017/8/23 この回のストーリーに直接の関係はないが、第十章 怪猫に入ってから、演技への喜久雄の反応を考えさせられる。その一 95回で、『隅田川』の舞台で我が子を探し狂女となった小野川万菊を観ている喜久雄と…
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あらすじ 201~225回 第九章 伽羅枕 白虎の借金を背負った喜久雄は、スケジュールに空きさえあれば、地方営業に向かわされている。地方営業では、土地の金持ちにも付き合わねばならないし、宴席のクラブで、踊れとまで言われる。 一方、肝心の江戸歌舞伎の舞台では、後…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第228回2017/8/22 106回で、俊介の口から辻村の名前が唐突に出た。110回で、喜久雄と俊介の所に、梅木社長と一緒に竹野が現れた。だから、竹野が再登場すると、俊介、辻村の名が連想されるのだろう。仮定①俊介は、二度と世…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第227回2017/8/21 竹野は、三友の社員でありながら現代の歌舞伎の在り方を、徹底的に批判していた。そして、今は担当者でありながら、テレビの素人参加番組の低俗さに、ほとほと嫌気がさしている。 竹野は、興業サイドから…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第回2017/8/20  気になり、再登場を心待ちにしていた(206回感想)人物が出て来た。 竹野、テレビ、こうなるとすぐ、喜久雄のテレビ出演を予想するが、そこにはもう一段仕掛けがあるかもしれない。 前回の感想で、市駒を取…
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朝日新聞連載小説『国宝』吉田修一・作 束妹・画第225回2017/8/19 喜久雄は、胸の内を誰にも明かしていない。徳次も、喜久雄が男たちに襲われたことや、その翌日の撮影の様子は知らないようだ。 あの喜久雄が、歌舞伎の舞台に立てないのは、気力を完全に失っているからだ…
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