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新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 の感想と、読んだ本の感想を更新しています。

2018年06月

新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第13回2018/6/14 朝日新聞 賢司さんが、母と姉弟の面倒を今後みるわけではないだろう。離婚した父に対する賢司さんの考え方は、正しい。その正しさは、世間的な良識に照らしてものだし、それよりは賢司さんの好悪に基づ…
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『国宝』の特徴①語り手の存在 連載小説を読んでいるのに、まるで、舞台を観ているような気分になった。小説中のこととしても、できごととできごとのつながりや時間の経過が妙なところがあったが、舞台上で場が変わるような感じで、そこに違和感を感じなかった。それは、場…
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 「徳次」は、「喜久雄」よりも「俊介」よりも愛着を感じる登場人物だ。 「徳次」は、仁侠の人として描かれていると思う。信義を重んじ、義のためには命を惜しまない。「徳次」は、「喜久雄」のためなら命を惜しまないといつも言い続けてきた。そして、それを「綾乃」を救…
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新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第12回2018/6/13 朝日新聞 思い出と過去の記録は、違う。記憶の中でも、思い出は記録とは別のものになるのであろう。 父がいなくなったことが、洋一郎にとって重い思い出になるのかと予想したが、そうではないようだ。…
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 「春江」と「市駒」と「彰子」、この三人の「喜久雄」を巡る関係を考えれば、互いに憎み合っても無理はない。 それなのに、この三人は憎み合うどころか、互いに感謝し、尊敬し合っている。 「俊介」から、丹波屋の御曹司の位置と役者のプライドを奪ったのは、「喜久雄」…
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 両親の離婚の原因の多くが父にあったことを理解している現在も、思い出の父はよい父だと、洋一郎は感じていると思う。 煙草屋のおばさんにとって、小学二年生の男の子にとって、この父は親しみやすい人だったのは間違いない。それは、この父の性格の一面だったのだろう。…
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 『国宝』の主人公は、歌舞伎の舞台に立つ魅力に取りつかれただけの人間だった。 『国宝』の全編を通して、「喜久雄」は、空っぽの人間に描かれていると感じる。  好きになった「春江」と「市駒」と「彰子」、認知した娘「綾乃」、綾乃が生んだ孫娘「喜重」、育ての母親…
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新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第9回2018/6/9 朝日新聞 父についての洋一郎の記憶は、姉の言う通り、実際とはかなり違っているのであろう。そして、父についての姉の記憶も、一方的なものだと思う。それは、姉の記憶が、母の側から父を見たものだから…
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新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第8回2018/6/8 朝日新聞 先日五十五年ぶりの中学校の同期会に出席した。参加者は顔を見ただけではまったく思い出せなかった。名前を確かめ合い、しばらく話しているうちに何人かを少しずつ思い出してきた。 会の後半、…
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 悔しい思い、辛い経験、幸福でないことそれもとてつもなく幸福から遠いこと、それに負けなければ、人は、他の人々を幸福にできるものを生み出すことができる。 作者は、こう書いていると感じる。 「俊介」が父の代役に指名されていたならば、「俊介」の長男が健やかに育…
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新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第6~7回2018/6/6~6/7 朝日新聞 姉の記憶の方が客観的なのであろう。 これだけ姉に「嫌な思い出」をもたせた父はいったいどんな父だったのか?家族を養う稼ぎがないや暴力を振るうだけではないような気さえする。 ま…
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 好きな台詞。今や丹波屋の若女将となった春江と、人気のお笑い芸人弁天との会話。「いや、ほんまやで。万が一でも俺がお偉いさんなんかになってもうたら、それこそ『天下の弁天、万引きで逮捕』とか『天下の弁天、痴漢の現行犯』とかな、一番みっともない姿晒(さら)して…
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 小説『国宝』には、何か所かの名台詞がある。私の好きな台詞を挙げていく。 初対面の「俊介」と、「喜久雄、徳次」の間が一触即発、乱闘騒ぎになりそうになった。そのとき、「幸子」が言う。「あー、面倒くさい。どうせ、アンタら、すぐに仲良うなるんやさかい。いらんわ…
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新聞連載小説『ひこばえ』重松清・作 川上和生・画 第4~5回2018/6/4~6/5 朝日新聞 洋ちゃんは、姉の熱心な言い分に感化されなかった。洋ちゃんは、友達の評判に同調しなかった。洋ちゃんは、太陽の塔、団地の給水塔が好きだった。そして、洋ちゃんの記憶では、ベランダ…
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