朝日新聞連載小説 『春に散る』第13回 「ミラーの試合を録画で何十回も見て (略) ミラーのディフェンスに穴が空くのは、そのときだけです。」  「ナカニシ」のこのコメントのニュアンスは、間に合わせの通訳のせいで、観客にもテレビ観戦の大多数の人々にも伝わりません。「広岡」にはよく伝わります。  相手がいくら優勢でも、可能性はどこかにあるはずと信じて、無闇に挑戦するのとは違っていました。相手のことを録画で研究して、一か所だけの自分の勝機について知っていたのです。  「ナカニシ」のこの言葉について、「広岡」は次のように思っています。 (略) ナカニシの勝ち方には、かつての自分には考えもつかないような思考の柔軟性があった。  優勢な対戦者を倒すには、厳しい練習となにがなんでも勝つという強い気持ちをもつことだと、思ってしまいます。  でも、「広岡」は、そうは考えていません。わずかな勝機をものにするのは、「思考の柔軟性」だと考えていました。 クリックをお願いします。にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ