朝日新聞連載小説 『春に散る』 第11回 4月11日分  劣勢一方だった「ナカニシ」が逆転勝利しました。 そのパンチを鼻と額の中心で受けたナカニシの頭が、ガクッと背後にのけぞるのを見て取ると、さらにこれが最後の一発だというような凄まじい右のフックをボディーに叩(たた)き込んだ。いや、叩き込もうとした。  この直後のカウンターパンチが大逆転を生んだのです。  圧倒的に優勢だった「ミラー」の瞬間の動きを見事に描いています。そして、「ミラー」自身も観客の誰もが予想しなかった動きを「ボディーに叩(たた)き込んだ。いや、叩き込もうとした。」と表現しています。  しびれる表現です。  現実の世界では、瞬間をまるで長い時間のように感じることは、特別な場合にしかできないでしょう。しかし、言葉の世界では、時間をこのように操ることができるのです。 クリックをお願いします。にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ