朝日新聞連載小説『春に散る』第22回
 「広岡」は、40年間日本に帰っていなかったのでした。
 ここまでの回では書かれていませんが、この回を読んで次のようなことを想像しました。
 日本で、アマチュアボクサーとして抜群の強さを顕していた「広岡」は、プロのボクサーとして世界チャンピオンになる夢を叶えようと、十代の後半にアメリカに渡った。アメリカでの厳しい環境に耐えて、彼は次第に認められるようになりつつあった。しかし、教えてもらいたかったトレナーからは、「チャンピオン中のチャンピオンになる才能はない。」と言われ、教えてもらうことを断られた。けれど、彼は諦めずに練習を重ね、チャンピオンへの階段を昇っていった。そんな二十代前半の彼を、心臓発作が襲った。ボクサーとしての夢を断れた彼であったが、援助してくれる人がいて、実業の世界で仕事を始めた。二十代後半からビジネスマンとして、アメリカで無我夢中で働き、実業の世界で生計を立てられるようになった。その間、彼は、故国日本を思い出すことも、帰ることもなく、現在に至っている。その「広岡」も六十歳を間近にしていたのだ。
 このような想像が湧きました。この小説は読者の想像力を搔き立てる力をもっています。
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