朝日新聞連載小説 『それから』第17回
 「代助」の祖父と父と伯父は、侍として生きた経験のある人物であったことが書かれていました。明治時代を生きている「代助」が、彼の祖父や父や伯父とは全く異なる考え方と感覚を持っていたことは、想像できます。それにしても、この父子の隔たりは非常に大きいと思います。

 昭和に生まれた私は、江戸時代の人と明治時代の人との間に大きな違いを感じますが、それは現代でも当てはまるのかもしれません。
 私の祖父は、明治の生まれです。祖父は、亡くなっていますが、平成の人から見ると、祖父や父と、私との間にはとてつもなく大きな違いを感じているようです。
 例えば、「家」というものについての考え方にしても、大きな隔たりがあります。明治大正の時代には、家土地は長男一人が継ぐもので、分割して相続するなどということは考えられませんでした。その家土地を基盤として、三世代の家族が一緒に生活するのはごく普通の姿でした。
 それが、私の時代、昭和になると、逆の方向になりました。家土地は分割して継がれ、親子孫三代どころか、親子二代が一緒に生活する暮らし方は完全に少数派になりました。
 現代も、祖父と父の時代と、私の時代の隔たりは相当に大きいと自覚した方が正しいと思います。

 「代助」が、今後父との隔たりをどうしていくのか、これは現代の問題でもあります。