朝日新聞連載小説 『それから』第21回
 金持ちだけど、自由になるお金はない。こういう人はいるものです。「代助」は、生活費には全く困らないけれども、自分の自由になるようなまとまったお金のないことが分かりました。
 また、「三千代」という女性を巡って、「平岡」と「代助」の間には何かあったらしいことが予想できます。

 金銭というのは大切だけれど、一筋縄では扱えないものだと思います。
 人間の社会でこんなに便利なものは他に思いつきません。私の年齢になると、いろいろな物を片付けなければなりません。私がこの世を去れば、今使っている物のほとんどが不要な物になり、遺された人たちはそれを整理するのに大変なエネルギーを使うでしょう。ところが、金銭だけは遺されても、邪魔になりません。それどころか、大変にありがたがられます。
 一方で、金銭が絡むと、人間関係がねじれてしまうことがよくあります。また、金銭は多く持ってもそれで満足することがないものです。(私は多額の金銭を持ったことがないので、このことは聞いた話でしかありませんが、正しいと思えます。)
 金は得るのが大変に難しいものですが、それを上手に使うのはもっと難しいと思います。
                         
 「代助」は、「三千代」から申し込まれた借金を、どうするのでしょうか。これは、お金を手に入れることと、それを上手に使うことの両方が関わった問題でしょう。
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