朝日新聞連載小説『春に散る』第31回
 この回でも、前回に続いて、通りすがりの人と言葉を交わした場面が出てきました。
 毎日の生活は、このような短い言葉のやりとりで、人と人との関係が成り立っていると思えてきます。
 
 私の入院経験では、看護師さんとの会話が人と話す機会になりました。入院生活も慣れてくると、だんだんに要領がつかめてきましたが、始めの内は、うまくいきませんでした。
 「今朝の体温は?」と聞かれたときに、「大丈夫です。」「平熱です。」「36度8分です。」のどれがよいか、どれでもよいようで、違いがありました。平熱が続いているときは、1番目でも2番目でも問題ありません。でも、発熱の後や看護師さんが記録をしようとしているときは、3番目でないと、聞き返されてしまいます。 

 ささいな会話をていねいに描いて、ストーリーを組み立てている所をおもしろいと感じました。

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