朝日新聞連載小説『それから』夏目漱石第38回
 文学、美術、音楽の才能に恵まれ、裕福な家柄に生まれ、健康で、自分なりの理由があって働かずに親の金で生活しているのが、「代助」です。そんな主人公が、ごく日常の金銭に関する質問で、手も足も出なくなる様子が書かれていました。
 現実のごく常識的な金の理屈とはこういうものだと思いました。
 ローン、リボ払いなどという言葉とシステムに隠されていますが、借金は借金だし、借りた金は利子を付けてなるべく早く返すというのが、借り手にとっての正しい理屈なのです。