朝日新聞連載小説『それから』夏目漱石第48回
 酒は弱いので、飲むときはかっこのよさとそのときのはやりで酒の種類を選んできました。若い頃は、ウィスキーがしゃれているような時代でした。ワインが出回ってたころは、私は既に中年で、ワインはおしゃれ過ぎました。

 「代助」と兄は、舶来年代物の葡萄酒を楽しんでいます。
 当時の資産家の嗜好がどれほど進んでいたかが分かります。同時に当時の日本の富裕層と支配者層がいかに西欧の文化に強いあこがれを持っていたかも分かります。
 今でも、日本の富裕層はそうなのかもしれません。それは、私の生活感覚や嗜好とはかけ離れているのでしょう。
 どの回でも次のように思います。作者は実際に体験しなくとも、その当時のあらゆる階層の人々の実態をつかむ力をもっていた。ブログランキング・にほんブログ村へ