朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第80回2015/6/21

「広岡」は、「藤原」を世界チャンピオンになれるボクサーであったと、今でも思っている。「藤原」は、ジムの会長が一番世界チャンピオンに近いのは「広岡」であると思い続けていたことを、話した。
 互いに、なぜそうならなかったのか、という問いを投げかけ合っているようだ。今はその答えが見つかってもどうにもならない境遇にいる二人だが、問いかけないではいられない気持ちが伝わって来た。