朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第116回2015/7/28

 前回を読んで、読者として感じていたことを、主人公自身が考えているようだ。

死んでいないだけではないか。佐瀬のその問いは広岡自身にも突き刺さってくるものだった。

 それほど、この二人の境遇は共通している。
 二人の違いである金銭面については、「佐瀬」は、強い引け目を見せてはいない。

いくら貧しても鈍していないらしいことに、広岡は救われる思いがした。

 私も、二人の違いが金を持っているかいないか、ではないことに救われる思いを感じた。