朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第118回2015/7/30

 突然、昔の仲間が40年ぶりに訪ねてきた。自分は他人には見せたくないような惨めな暮らしをしている。しかも訪ねてきた旧友の方は、景気がいいようなのだ。
 この状況なら、訪問を受けた方は、気まずくていたたまらなくなるか、つっけんどんな態度を取ってもしょうがないと思う。
 ところが、「佐瀬」は、何とか「広岡」をもてなそうとしている。
 その気持ちが伝わって来る。