朝日新聞連載小説『それから』夏目漱石第97回2015/8/19

 「父」は、この縁談が「父」にとって利益になることを正直に話した。また、自分の事業の状況が芳しくないことと、年のせいで弱ってきたことを、隠さずに話した。
 だが、我が子「代助」は、それを理解しながらも、「父」を助けようとはしなかった。「代助」がこの縁談についての不平不満をぶつけてくるのなら、まだ対処のしようもあるが、それもしない。
 「父」にとっての息子「代助」は、理解できない存在である。理解できないだけでなく、父としてどう接していけばよいのか、叱りつけるというよりは途方に暮れているように感じる。

 「代助」の方は、「父」をよく理解できる。だが、「父」が望むように動くことはもうないと心に決めている。