朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第139回2015/8/21

速さもうまさも大塚の方が上かもしれない。だが、何かが中西の方が勝っているような気がする。

 「何か」は、この小説が描こうとしている主題に関わることだろう。


真拳の会長は単なるアマチュアにすぎないんだと


 「会長」は、元プロボクサーやプロボクシング業界の人ではなかったことが分かる。そして、彼のボクシングの理想は、理論的でボクシング技術を大切にしたものだったようだ。


だが、広岡には、そのことに何となく現実味が感じられなかった。


 読者としても、そう思う。だが、説明されてみると、「令子」にまつわることが一気に納得できた。

 沢木耕太郎の緩急自在な表現力を味わえた。