朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第回2015/8/26

 チェーン店ではない食べ物屋では、店の人の応対が味に占める割合は高い。
 この小説では、今までにはキーウェストでの、レストランバーのウェイトレスが登場していたと記憶している。さりげなく描かれていたが、この時のウェイトレスは余計なことを言わず、好印象だった。
 この回のレストランの接客をした人は、ウェイターや店員と呼ばずに、「席まで案内してくれた男性」と表現されている。単なる店員という雰囲気の人ではないのだろう。

 食前酒の注文をする「広岡」がかっこいい。彼は、酒についての蘊蓄など語りはしないはずだ。