朝日新聞朝刊 耕論 戦後400年!  おおらかな性 明治に変質  下川耿史 2015/8/29
それから 夏目漱石

 『それから』の感想で、「不倫」について書いたら、8/29に次のような論が載っていた。

1882年に妻の不倫を禁じる姦通罪が施行されました。

 『それから』が発表されたのは、1909年だ。作者は、姦通罪のことを十分に意識していたのだろう。また、近代的な法によって庶民の風俗が変化したことを分かっていたであろう。

 
国家統治の核となる近代家族を作ろうとした明治政府にとって、自由な性は秩序を壊すものだった。いつの間にか日本でも性は、いかがわしいもの、隠すべきものとみなされるようになった。それはせいぜいこの150年足らずの話なんです。

 夏目漱石は、現代の研究者が分析した上のような社会と道徳の変化を、その時代にありながら洞察していたと感じる。漱石にとっては、作られた「近代家族」像は受け入れがたいものであったと思う。

 この筆者の論がどの程度当を得ているのか、私には分からない。しかし、現代の様子を考えるためにもこのような視点はおもしろいと思った。