朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第3回2015/9/22

 その人についてのデータが細かく書かれているからといって、その人物像が伝わるものではない。

「厭?」と女学生流に念を押した御米が、

 この回の御米と小六の会話には、声の調子と動作とどこを見ながら話しているかが描かれている。
 こういう複合した情報の表現が、文章上の人物を生き生きとさせる。

 言葉だけを取り出しても、見たことだけに頼っても、物事の本質をつかむことはできない。五感を使って、いろいろな観点からとらえることが、人の気持ちを理解することにつながると思う。
 そのためには、小説を読むことも役に立つ。