朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第6回2015/9/28

 日曜も夕方となってしまい、明日からの勤めを思うと、つまらなく感じている。そんな宗助の気分を読むと、私も、若いころの自分を思い出してしまう。仕事に慣れたが、同時にだんだんと先も見えてきた年代のころの気分に特に近い。
 勤め人でなくなって、何年も経ってしまった私には、少し懐かしい気さえした。

 明治時代の宗助と私が経験した感覚がこんなに近いのが、不思議なほどだ。
 一方で、夫婦二人の暮らしで、高給取りには見えないのに、女中と呼んでよいのか、家事をする使用人がいるところは、私の経験では考えられない。