朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第178回2015/9/30

 私の感想と、広岡の感じたことは真逆のものだった。


そこで広岡が言い淀むと、真田が試すような口調で訊ねた。

 今回の広岡は訊ねられたことに非常に明確に答えている。真田の話をすぐに理解したのだろう。
 三度読んだということは、三度考えた、いや三度以上考えたということでもあると思う。


 私は、『老人と海』を何度か読んだ。映画も数度観た。20歳代と60歳代では、その感想が全く違っていたことを思い出した。