朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第192回2015/10/15

 女将が、一度終わりにすると言った話を、また蒸し返すことはないだろう。広岡が、女将に頼んでその話の続きをねだるとも思えない。この後、星と真琴の事情はどう描かれるのだろうか。
 料理は後一品のはず。


 挿絵のような姿の女将、気の利いた肴、何よりも星の事情をも知っていそうな女将の話。この小料理屋で長い時間、酒を飲み続けてしまう。
 それでは、現実の世界の話になってしまう。広岡は、そうはしないはず。