朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第223回2015/11/16

 いろいろな小説を読むのは、おもしろい。
 一時期、ジョナサン・ケラーマンの作品で、手に入るもの全て(翻訳)を読んだ。ベストセラー作家だったが、私が読み始めた頃は、ブームが去っていたようで、文庫でも絶版になっているものが多かった。
 その頃は、臨床心理学に興味を感じていたので、非常におもしろかった。

 『春に散る』では、ボクシングをテレビで久しぶりに見るようになった。また、家作り、部屋作りで、同じ考え方に出合うとは思わなかった。

そこに収容できない持ち物は一階の納戸に入れ、決して床に物を置かない。

 我が家は、部屋数とほぼ同じ数の大小の納戸を作ってもらった。床に物を置かない、は妻の口癖だ。

その万能テーブルは極めて便利なものだった。

 居間には、ベンチ式のソファーを置いたり、いろいろとやってみた。結局は、大きめの食卓テーブルを居間の中央に置き、椅子を六脚入れている。食事も物を読むのも来客と話すのも、ここになった。