朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第38回2015/11/19

「あの坂井という人はよっぽど気楽な人だね。金があるとああ緩くり出来るもんかな」

 坂井という人は、金を持ち、賑やか家族に囲まれ、趣味も随分とハイカラだ。世間的には、羨まれるにふさわしい暮らし向きだ。
 明治時代には、国を挙げて金や物を得て、先進国に追いつくことを目標にしていた。
 それは、昭和・平成時代も大きくは変わっていない。
 宗助は、坂井の暮らし向きを目の当たりにしてどう感じているのだろうか?
 それほど羨ましく思っていないようだが、かといって嫌ってもいないようだ。