朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第228回2015/11/21

 氷見はやはり只者ではない。興味本位や詮索好きとは違って、気に入らない注文主からの仕事はしないという職人気質を感じる。
 氷見は、元ボクサーの老人ホームを気に入ったのだと思う。

「そいつは、なんだかおもしろそうだな」

 広岡の準備は着々と進むが、仲間はそれを喜ぶだろうか。白い家にすんなりと入ったとしても、広岡が準備した家具を使いやすいと思うだろうか。