朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第39回2015/11/20

こんな生活状態に甘んじて一生を送る兄夫婦が如何にも憫然に見えた。

 その兄夫婦を頼りにするしかないのに、そこには小六の考えはいかないようだ。資産家の家に生まれ、裕福な生活を経験するとこういう考えをもつのだろう。
 障子張りを手伝うだけでも、金の心配のないときと、金の心配ばかりせねばならないときとではこんなに違うものなのだ。