朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第40回2015/11/23

仕方がないからなるべく食事中に話をして、責めて手持ち無沙汰な隙間だけでも補おうと力めた。

 一緒に住んでいる家族間でもこういうことはある。御米の場合は小姑に対してであるが、親子でも珍しいことではない。だいたいが、大人になった者同士が、肉親だからといって、そんなに話題があるわけはない。そう割り切った方がよいと思う。
 それにしても、作者は、こういう女性の心持がどうしてこんなによくわかるのだろうか、不思議だ。妻のこういう気持ちに気づくまでには、私は相当の年月を要した。