朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第232回2015/11/25

 コーヒーを淹れる方法や豆の種類は随分と多種に渡って出回っている。その一方、煎茶を専門に扱う店はそれほど増えはしない。
 その煎茶よりも抹茶を飲む機会は減るし、自宅で点てることも滅多にない。抹茶の香りの良さと味の深みは定評があるのに、なぜだろう。本格的な茶道にのっとった飲み方が知れ渡っているからかもしれない。
 私は、茶道の作法など全く知らないし、覚えたいとも思わない。だが、この回を読んで、抹茶を作法などはなしで、自宅でもっと味わいたいと改めて思った。

 広岡のこの思い出はどこにつながるのだろうか。大きなテーブルに結びつくものになるとも思えないのだが。