朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第233回2015/11/26

 過去の仲間と共に住むという話が具体化するのに、令子に相談することもないと不思議に思っていたら、和菓子の思い出が、真田や令子のことにつながった。
 真田は、広岡にボクサーとして大きな期待をかけていたことが改めてわかる。

広岡が四人の合宿生の中で最も理想のボクサーに近い存在だったからかもしれない。

 ずいぶんと慎重な表現だ。広岡こそ真田にとっての理想のボクサーだった、と表現してもいいような場面なのに。
真田の理想のボクサーとは、詳しくいうとどんなボクサーなのか、そして広岡には欠けていたものは何なのか、知りたくなる。