朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第43回2015/11/26

 珍しく宗助が積極的に他人にかかわろうとしている。それも、抱一の屏風が話題に出たからだ。抱一の屏風は、値打ちものだったのかもしれない。そして、道具屋はそれを宗助からの買値よりもよほど高く坂井に売ったのかもしれない。
 でも、それを知ってもどうにもならないだろう。また、坂井と宗助の関係が、それによってもっと発展するとも思えない。
 だが、御米以外とはほとんど交渉をもたない宗助にとっては、坂井の存在は日常を逸脱しているとも感じる。