朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第234回2015/11/27

二人が親しくなったのには、他の兵士には話せない、アメリカでの生活とボクシングという共通の話題が存在したということもあったらしい。

 真田については、ボクシング経験はないが熱烈な愛好家で、それが高じてジムを開くまでになったという印象をもっていたが、そうではなかった。また、トレナーの白石についいては、元プロボクサーの頑固一徹な人という印象だったが、これも違った。
 そうなると、今の広岡と、真田会長と白石トレナーとは、ボクシング以外にアメリカでの生活という共通点をもつことになる。
 関係がなさそうに見える人物同士が、思いもかけない共通点をもち、本人も意識していないその共通点でつながるというところにドラマを感じる。