朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第45回2015/11/30

 宗助は、御米のことをよく考えている。だが、小六を家におくことをやめはしなかった。もし、御米のことを優先させて、小六の世話をしなければ、それはそれで心配を抱えたままになったろう。また、御米にも、家のこととは別の意味合いの気まずい思いをさせただろう。

 子どもが多いことも、裕福なことも、坂井の家は宗助の家庭とはずいぶんと違う。そこに何を発見するのだろうか。