朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第280回2016/1/14

 ネコを飼うかどうかを決めたのも、その名前を決めるのもほとんど三人だけで話し合っている。広岡は、口数少ない。でも、みんなで話し合っているのは間違いない。
 一軒の家の住人たちが、非常に重大な事を決めなければならない時も、こういう普段の事を決める時も話し合いの本質は変わらない。普段の小さな事の積み重ねが、重大な事の共同での決定につながるのだと思う。

 四人の男たちと佳菜子が声を上げて笑っている。
 みんなで笑えるなんて、素晴らしい。

 チャンプの絵、いいなあ。