朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第288回2016/1/22

 おもしろい方式だ。
 一般的には、金を出す人が、必要と思う物を買い与える方法だろう。または、合宿生のリーダーがまとめて買う方法だろう。
 「カステラ」方式は、それぞれのわがままが出る可能性がある。また、同じものが重ねて買われることもあると思う。
 反面、共同で使う物と金に、それぞれが責任を感じるだろう。
 規則通りにしなければならず、生活必需品は一方的に与えられる生活とは、逆の生活であったと思う。

 家も家具も広岡が自分の金で用意した。家賃と光熱費は広岡が払う。だが、日々共同で使う物は、共同の金で賄おうというのだ。
 暮らしにどうしても必要な金をどうするかは、どんな共同生活にとっても生命線になると思う。たとえ、それが家族間であっても。