朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第292回2016/1/26

 広岡という人物は、この小説の主人公として楽しみな存在だ。他の三人の関係も架空のこととしておもしろい。佳菜子の存在は、ストーリーの展開上なくてはならない。
 一方で、小説の中で描かれている独り暮らしの男の老人が置かれている状況は、現実味を帯びる。
 現実に四人の男の老人が、共同生活をするとなれば、金銭や食事だけでなく、いろいろと不便や不都合が生じるのは明らかだ。それを、なんとか解決できるとすれば、若い人の存在が欠かせないと思う。