朝日新聞連載小説『春に散る』沢木耕太郎第293回2016/1/27

 この四人は、それぞれが独りでいるよりも、一緒の方がずっと楽しいと感じている。広岡は、そのために自分の資産の一部を提供さえしている。
 しかし、一緒に暮らせば全てがよくなるとは思えない。共同生活には、どんなにやり方を工夫しても、そのデメリットもある。
 広岡は、藤原の行動を心配しなければならなかった。こういうことは、これからも起こるだろう。仲間と一緒に暮らす生きがいと安心感は、仲間の欠点を受け容れなければならない煩わしさと表裏のものだと感じる。