朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第93回2016/2/16

 座禅がうまくいかないと自覚した宗助は、書物を助けにしてみようとする。しかし、それも宜道によって止められた。
 
彼はただありのままの彼として宜道の前に立ったのである。しかも平生の自分より遥かに無力無能な赤子であると、更に自分を認めざるを得なくなった。

 座禅を一日続けようという気力も体力もない。かと言って、寺にいることを止めようともしない。ただ、自分の「無力無能」を認めることはできた。
 悩みを克服するには、己の無力無能を認めることは必要なことかもしれない。