朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第94回2016/2/17

 心の救いを求めて、座禅の修行に来たのに、身を入れて座る努力もせずに時間を過ごす宗助が描かれている。
 宗助の行動と気持ちは、山寺へ来る前と何の変化もないように見える。表面的にはそうなのだが、本当にこの寺に来たことは無駄なことなのだろうか。

日は懊悩と困憊の裡に傾いた。

 僧と修験者と飯を食い話をし、村の中をうろつき、あとは何もせずに過ごした一日だった。それなのに、宗助は、今まで以上に悩みもだえ、悩むことでくたくたに疲れ切っている。これは、なぜなのか。