朝日新聞連載小説『門』夏目漱石第96回2016/2/19

 宗助の考えは、老師によってたちまち退けられた。
 答えに自信はなかった。座り続けて得た答えでもなかった。全くわかりませんでした、というのでもない。
 座禅は続かなかったが、宗助は宗助なりに考えに考えた答えだったと思う。

 老師にははねつけられたが、これを考えていた間は、安井への罪の意識からは逃れていたのではないだろうか。